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■中学受験なんてどうでもいい

2020.03.31(12:37) 915

勤務先の入院患者に新型コロナ陽性が出ました。一日経って現在他の患者やスタッフの検査が進められていますが、まだ公表はされていませんね。

一般市民と同様、医療従事者間にも温度差があります。もちろん新型コロナを甘くみているかどうかではなく、コロナ禍のその先を見据えた姿勢の温度差です。

この調子では医療は必ずガタガタになります。それは欧米のような戦時さながらの異常事態になるに違いないという意味ではなく、一見患者サイドにはそれと気付きにくい形での不利益が多発する程度という、かなり楽観的な希望的観測を含めての崩壊です。かかりつけが診療出来ないだけでも中には大変な負担がかかる患者もいるからです。

そしてこの禍いが落ち着いたとき、失われた信用とその結果としての患者の減少をどう取り戻せるか。ここに医師サイド内の温度差があるようです。新規の紹介患者を断るか。スタッフの曝露リスクの高い内視鏡や呼吸機能検査から率先して制限を始めるか。それとも崩壊するまで通常の診療体制を維持するべきか。経営に近い医師と末端の石ころと揶揄される若い医師とでは当然考え方が違います。

そこに高レベルのエビデンスはありません。だって文字通り未曾有の事態ですから。政治なり企業なり病院なりのリーダーの判断材料のうち、現時点で客観的な検証に耐えるエビデンスは非常に限られていますから。それは後世の人間が分析してそれからの教訓とすべきことです。

しかし、この数ヶ月の世界情勢からみて学べることもあります。それは、やった方がいいのではないかと専門家が考えることは、やっぱりやっておくに越したことはない、というエンピリカル(経験的)な示唆。

その最たるものが極力「家にいろ」というフレーズです。

欧米のリーダー達の悲壮な叫びがどうしても耳に届かない人たちがいる。

先日の雪の中、スポーツジムの帰りに交通事故を起こした人を治療しましたが、何を考えているのでしょうか。

この国では毎年何千人もの喘息患者が発作で亡くなります。
人工透析を受けている患者は30万人以上います。
抗がん剤を飲みながら通勤している人は珍しくありません。
臓器移植後や様々な免疫関連疾患で免疫抑制剤を飲んでいる方も数多います。
自宅で高齢の親族を介護しながら通勤する人はさらに多いでしょう。
身重の奥さんを心配している塾の先生だって珍しくないでしょう。

なぜ、そのような「実は近くにいるハイリスク群」を思いやる行動が取れないのか。

狂気、という言葉が脳裡を過ります。

大和撫子養成所【父塾】


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■温度差:弐

2020.03.29(15:05) 911

不要不急の外出を控えるとはいえ、何が不要で何が不急ではないのかが分かりにくいですね。

新型コロナウイルス肺炎の恐ろしさも、人によっては「国の、人類の危機だ」と感じるし、「主に高齢者だけが重症化する、ちょっとひどい風邪の一種でしょ」「致死率もエボラに比べたら大したことはない」「もともと高齢者は肺炎で亡くなることが多いし」と認識している人もいて。

医療者としては、これはもう身の毛のよだつ狡猾な悪魔のような病気です。八割は重症化せず、中には普段と全く変わらず生活出来る保菌者もいて、感染力はほどほどで、潜伏期間が長い(だから狡猾なんです)。しかし高齢というだけでいとも簡単に重症化し、人工呼吸器が必須になります。地域を担う救急病院が保有する人工呼吸器はあっという間に底を突くでしょう。

すると何が問題になるか。患者の選別です。

少しでも治る可能性のある患者に人工呼吸器を回す。その線引きは医師が行うしかありません。

最近は延命としての人工呼吸器を拒否する意向のご老人は多いですが、肺炎の末期は非常に苦しみます。余りに辛いので「殺してくれ」という方もいる。多くの重症患者は次第に酸欠から意識混濁していきますが、なかなか苦しみがやまない方もいる。

ボクは、延命のためではなく、緩和のための人工呼吸も必要だと思わざるを得ないケースを多々見てきました。安らかに眠りながら死を迎えられるからです。ご存知ない方も多いでしょうが、人工呼吸器にはそういう使い道もあるのです。

それが底を突く。

ただでさえ肺炎で亡くなる患者の多いこの国で。しかし、これもまた医療崩壊のワンシーンに過ぎません。

ボクなどは社会の経済活動とは離れたところにおりますので、『不要不急』の定義を普遍的に説明することは出来ません。大事な会議もあるでしょうし大切な懇親会もあるでしょう。春期講習に全力を注ぎ込みたい受験生もいるでしょう。

でも、いま日本の公衆衛生を襲いつつある疾患は、このペースで拡散すれば、高齢者に文字通り悪夢のような苦痛をもたらします。安楽死のない国で。エボラなんて可愛いもんです。

それを具体的に想像できるぶん、『不要不急』の言葉に重みを感じています。

大和撫子養成所【父塾】


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■呑気な買い占め

2020.03.26(14:56) 907

我が家は納豆が大好きで、卵の消費も多いのですが、近くのスーパーに行きましたら見事に品切れ続出でした。辛うじて卵を四個と、見たことのないブランドの納豆三パックを買えましたが…。

東京都の外出自粛要請を受けてでしょうが、知事の会見に経済的な保障に踏み込んだものはなく、公衆衛生と経済活動を乗せた天秤はしばらくナアナアに進みそうですね。もう少し突っ込んだ警告が出るかと思っていましたが…それももっと早くに。

近所の素晴らしい桜並木、今年はお祭りこそ中止ですが、昼には老若男女たくさんの人がお花見しています。コロナ禍のさなかとは思えないほど長閑な春です。

国内、国外も含め、信じられないことに、未だに旅行する人もいるようです。

医療サイドとしては、はっきり言って「何でこんなに呑気なんだろう…」と唖然としてしまいます。イタリアやスペイン、アメリカの惨事は決して対岸の火事ではないのに。彼らは1ヶ月前の日本を嘲笑っていた側だったのに。

やはりドカンと身に堪える衝撃がなければ、社会経済の慣性を生半可な力で捩じ伏せるのは困難なのでしょうかね。

病院はどこも戦々恐々としながら態勢を整えています。

大和撫子養成所【父塾】


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■コロナと厚労省

2020.03.17(18:06) 895

コロナパンデミックの問題は、それが多分に政治と絡んでいるがために根深いですね。しかし真の先進国ならば、そしていやしくもインテリを自認するのならば、科学的根拠に基づいた言動を旨とすべきです。

日本には大勢の内科医がいますが、感染症の専門医はごく僅かです。しかし、例えウイルス学の大家でも臨床医学に精通しているとは限りません。危機管理に専従する医師を養成するシステムもありません。いくら肩書きの立派な医師だからといって、政争に加担する暇のある人に現場の苦労が想像出来るでしょうか。そんな人たちをいつまでマスコミはもてはやすのでしょうか。

日本国内の流行では間違いなく厚労省の初動ミスに責任があります。彼ら医系技官のうち、どれだけの人間が感染症に対する十分な知識と技術を有していたかも甚だ疑問ですが、最大の問題は「国民に嘘をついた」という点にあります。

クルーズ船内での流行は、彼らが言うように、厚労省が関与する前に既に感染が拡大していたからではありません。厚労省の技官や検疫官が複数感染したことから分かるように、彼らの衛生手技が未熟で不十分だったのです。こんなにみっともないことがありますか?だからこそ、あの船が巨大な培養槽になったのです。(岩田先生はエキセントリックな方ですが、彼が驚愕し恐怖しパニックになったのにはちゃんと理由がありました)

そして、偽陰性が決して無視できない陰性乗客を公共交通機関で帰宅させるという暴挙。その判断を下した人間は誰なのか。

厚労省は、まあ、永久にそのミスを認めないでしょうけれどね。

突然の休校。様々なイベント自粛の風潮。
それなのにイタリアやフランスからの渡航は無制限。
そして各国が規制を強める中での一転とした自粛解除。

ボクたちが戸惑うのはそこに行政の明確なメッセージがなかったからです。リーダー不在と言ってもいい。マスコミのように同調圧力を毛嫌いする人々が声高に反発し、「なんだかよく分からない状況」に陥ってしまっている。「どうせ行政側は五輪のことしか考えてないんでしょ」のような論調まで飛び出して。野党も野党で、皆でこの難局を乗り切らねばという時期で政権批判に明け暮れる。

今のところ、日本のとった戦略はある程度成功をおさめたと評価する医師(ただし勤務医)は多いです。それは多数の感染確定患者の殺到を防いで医療崩壊に至らずに済んでいるという、あくまでも幸運な結果だけをみた場合のこと。これからのことは分かりません。

日本の医療の底の浅さは厚労省に体現されています。

大和撫子養成所【父塾】


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  1. ■中学受験なんてどうでもいい(03/31)
  2. ■温度差:弐(03/29)
  3. ■呑気な買い占め(03/26)
  4. ■コロナと厚労省(03/17)