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■次に備える

2020.05.26(08:02) 991

分散ではありますが、SAPIXも学校も授業を再開するとのこと。

現在も闘病中の方、隔離中で不安な方、ご家族を喪って悲しみに暮れる方もおられるのですが、対新型コロナの第1ラウンドは、ひとまず日本の勝利といっていいでしょう。

問題は『次』です。この戦いは12ラウンドまで覚悟しないといけません。少なくともその覚悟で戦略を練ることです。

さて、重症者を抽出し、検査や治療にかかる資源を優先的に投入するという我が国の戦略は、このウイルス疾患の性質上、医療崩壊を防ぐための最適解だと考えていたのですが、ウイルス学の観点からは別の意味があったそうです。

つまり、毒性の強いウイルスが出現する度にこれを隔離し消滅させることは進化論的な自然選択の模倣となり、市中に蔓延する株を人為的に弱毒化させるのである、と。

言われてみれば「そりゃそうだ」なのですが、ちょっとその視点は欠けていましたねえ。

宿主を死に至らしめるほどの強毒ウイルスはいずれ自らも死に絶えざるを得ないわけで、どこかで自然選択が働いて、いわゆる普通の風邪ウイルスに落ち着くところで妥結しないかというのは当然。

SARSやMERSの大規模な流行は終息しましたが、スペイン風邪が人類との共存を選んだように、今回の新キャラも生き残る可能性が高い。そうであれば、我々に都合のいい性質を獲得してくれるような進化を人為的に促す、という戦略も成り立つわけです。

ま、それはともかく、第2ラウンドの開始はいつだと思いますか。

実は昨日、安倍首相が緊急事態宣言の解除を宣言した瞬間からです。既に戦いは始まっています。

市中の医療機関は何も気を抜けません。日常を取り戻しつつ、油断しないように気を付けます。

大和撫子養成所【父塾】


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■魚をおろしながら考える

2020.05.17(19:17) 983

北海道から九州に至るまで、都内の鮮魚店に並ぶ魚介類の『出身地』を見るたびに、津々浦々に整備された日本の輸送技術に頭が下がります。

つい昨日、或いは今朝がたまで、遠くの海で泳いでいたお魚をですよ、平気で生のまま食べているんですからね。これは凄いことですよ。

むろん、都内のスーパーで刺身用とされていても(海辺の民の出としては)生臭くてこれはちょっと…というものもあるので、信頼出来るお店で買うのは当然ですが、それでも生臭くて食べられないことはあってもお腹を壊すことはまずないわけで。

アニサキスは、あれは別です。仕事がらアニサキス症はしょっちゅう診ますし、ボク自身も過去三回食われていますが、患者さんは可哀想ですがお店にも僅かながらの同情を禁じ得ません。いや、ちゃんと見付けてくれないと困るわけですが。

とにかくボクが言いたいのは、食品ひとつとっても日本の公衆衛生レベルは高いですし、逆に、日本人が魚介類を生食する性質があったからこそ、衛生意識も自然と発達してきたのではないかと。

握手をしない、土足で上がらない、手を洗う、毎日入浴する。

そういう文化圏内だからこそ、寿司屋のお兄ちゃんが素手で握ってくれたお寿司を些かの不安もなく口に出来る。

数年前にアジア某国で食べたお刺身に衝撃を受けたボクは、つくづく日本に生まれて良かったと思ったものです。

対コロナの戦いは続きます。衛生のために知恵を絞り工夫して下さる方々に感謝しています。

大和撫子養成所【父塾】


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■コロナメモ:花を買って帰る

2020.05.12(21:13) 978

今後の展望については、これはもう不確定要素が多過ぎてとても知った風なことを書くことは出来ません。医療の現場を知らない人はとかく色々なことをおっしゃいますが。

それでも、この二ヶ月ほどでだいぶ状況が変わりました。というよりも、敵が見えてきました。

一臨床医として国の政策に思うところは多々ありますし、その評価と反省は徹底的になされるべきですが、まず結果的に時間を頂けた、これは大きかったですね。

ボクが多少なりとも関わった患者は20名足らずですが、エクモ(人工肺)を回した最重症例もいます。ああ、この患者は十中八九助からないだろうなという死の淵から生還した人が複数います。

その率直な感想として、『適切な危機と管理があれば、恐れるばかりの病気じゃないぞ』と。『あれ、結構戦えるんだな』と。

しかし、重症患者を助けるには優れた医療(知識と技術と潤沢な物資)が必要であることも間違いありません。

もっと早い段階で万が一患者が急増し、医療従事者にも蔓延していたら。死亡率はこんなものではなかったでしょう。

初めは戸惑い疲弊した『院内感染防止のための防御策』も、今では日常になりつつあります。どうすれば感染を防げるのか、どうすれば他の患者の治療を継続・両立させられるのか。

現場の医師や看護師らスタッフにその知識と経験と覚悟を与えてくれた二ヶ月だったと個人的には考えています。

決して楽観的でも悲観的でもない自分ですが、医療現場の戦いは、これはもう長く続くに違いありません。例え社会活動が徐々に戻っても、医療は気を抜けません。今後もう一波、二波がきて、今までとは比較にならないオーバーシュートが起こるかも知れません。

が、幸いにもボク達には時間が与えられた。患者サイドである国民も様々な知識を得ることが出来た。ニューヨークや欧州のような大規模な医療崩壊を防ぐための手立てを考える時間を得たのです。

日本の医療は根本的に様々な問題を内包していましたが、そのほとんど全てについて、今回のコロナ禍を契機に見直すチャンスを与えられたとも思います。(これは長くなるのでまた今度)

政策の結果、或いは市民の自粛の結果、血をみるほど辛い思いをしている方々も多いでしょう。生活に困っている方もいるはずです。

ボクの弟は、花屋さん兼フラワーコーディネーターという、ちょっとボクとは違うジャンルで頑張っていましたが、(果たして家賃分だけでも稼げているのだろうか)と心配になるほど売上が落ちているそうです。

そういう方々のお陰で今現在の医療が成り立っていると思っています。感染拡大を防ぐために配慮して下さった皆さんのお陰です。

皆さん、お仕事の帰り、街の花屋さんが目についたらお花を買って下さい。音楽を聴きましょう。綺麗な洋服やアクセサリーやお化粧品を買いましょう。

騒ぎが収まったらパーッと飲んで、映画館や博物館に行って、レストランで食べて、コンサートやライブハウスに行きましょう。もうちょっとの辛抱だと信じて頑張りましょう。

大和撫子養成所【父塾】


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■お上の戦果ではない

2020.05.05(22:30) 969

新型コロナウイルスのお話。

やはり、特筆すべきは日本の死亡者の少なさです。死亡率、ではありません。死亡の実数が、やはり、どう考えても少ない。

政府が隠蔽しているなどという陰謀論を言いたいのではありません。実際、病院内で伝播すれば医療者ならすぐに気付くでしょう。看護師さんたちは患者の体温を医者よりもしっかり看ているし、呼吸状態の変化だって同様です。しかもみんな本当に恐々と仕事しているのです。報道の数倍程度の死亡例があったのなら、隠蔽出来るとはとても思えない。

やはり、日本の新型コロナウイルスは相当(少なくとも欧米に比べると)上手くコントロール出来ているのは事実なのだろうと思います。

しかしです。

これは、断じて『お上の戦果ではない』と申し上げたい。

彼らの作戦勝ちなのではなく、彼らは運が良かっただけだ、とボクは思うのです。

医療現場はもうだいぶ疲れました。薄氷を踏む思いで急患を受け入れ、日々の診療に当たっているのです。「○○病院院内感染・診療停止」、これが明日の我が身にならないようにと祈りながら。

もし日本人の公衆衛生のレベルがもう少し低くて、自粛する人が少なくて、もしかしたらと期待されているBCGの効果もゼロであったのなら、日本の医療崩壊は欧米の水準まで落ちかねなかったわけです。

そんな状況では、この『お上』のもとではとても就業出来なかったですよ。判断も遅く、実弾の補給も鈍く、何よりも国民にも現場にも説明が足りなかった。

何故医師が必要と判断する症例まで保健所に検査を断られるのか。前にも書きましたけど、ボクはこれ、相当根に持っています。

未だにですよ。

某病院には某保健所から『PCR試薬が不足しているのでなるべく検査をオーダーしないで下さい』という通達が届いているのですよ。

日本の死亡者数が(今のところ)際立って少ないのは、国民の公衆衛生観念の高さと医療現場の覚悟と技術ゆえ、それだけだと思っちょります、はい。

大和撫子養成所【父塾】


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■清潔度を決定するのは

2020.05.01(16:41) 962

研修医として入職したとき、ときの指導医からきつく言われた言葉があります。

『君たちの中で一番不潔な人間が、この病院の清潔度を決定する』

要するに、いくら皆で意識を高め手指消毒などの手技を徹底しても、ひとりでも手技の不十分な人間が混じればそれ以上清潔にはならない、という意味です。

皆が自宅に籠り、不要不急の外出を避けていても、それを守らない人間の存在が一定水準を越えると集団としての自粛が意味を成さなくなります。

自分だけはと油断しないことです。
知らなかったでは済まされません。

大和撫子養成所【父塾】


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  1. ■次に備える(05/26)
  2. ■魚をおろしながら考える(05/17)
  3. ■コロナメモ:花を買って帰る(05/12)
  4. ■お上の戦果ではない(05/05)
  5. ■清潔度を決定するのは(05/01)
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