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■治療失敗は全て医者の責任?

2018.09.18(17:50) 394

精神疾患の患者さんが都内のメンタルクリニックに受診後、母国である中国に帰国し3カ月後に自殺したことに対して、東京高裁は開業医の過失を認めました。記事は→日経新聞へリンク

ボクは精神科の門外漢なのであくまで一般医の立場で書きますが、これはまた凄い判決がでたものです。これが認められれば精神科、いや医療そのものが成り立たなくなるのではないでしょうか。

肺炎の治療失敗が病死であるならば、希死念慮(自殺願望)のある患者の治療失敗は自殺です。肺炎の患者に抗菌薬も酸素も与えずに放置したなら当然その医師は有罪ですが、どれだけ手厚く最先端の治療を施しても毎日何千人もの肺炎患者が亡くなっています。同じように、うつ病でも統合失調症でもたくさんの"精神科通院中の"患者が毎日自殺しています。これらは皆治療の失敗として医師を責めるべきものなのでしょうか。

*注 ここでいう『失敗』は、いわゆる医療ミスのことではありません。治療成功の対義語としての失敗です。

そもそも日常の外来診療でもERでも、自殺をほのめかすような言動を取る患者は全く珍しくありません。そしてその中の誰が本当に自殺するかを当てるのはかなり難しいものです。その一人一人の3カ月後まで医師が責任を取らないといけないとしたら、何が起こりますか。全員入院させて行動の自由を制限し、24時間監視しますか。大量の向精神薬を飲ませますか。

十分な審議を経たはずの高裁判決について断片的な情報だけで横槍を入れるのもどうかと思いますので、これ以上私見を述べるのは止めておきます。

しかし、これだけは言いたい。患者が自殺するのは病気のせいなんです。悪いのは病気です。その病気を必ず治すことが要求されるのであれば医療は成り立ちません。医者は可能な限り一人でも多く救いたいと思っていますが、全てを救えるなんて誰も思っていないはずなんです。

でも、患者サイドは違います。医師は病気を発見して治すのが仕事であり義務であると信じ、完全性を要求し、故に一切の『失敗』も許したくないというのがごく自然な本音でしょう。

癌などの悪性疾患ですらそうなんですから、うつ病や腸炎などの本来良性とされる疾患で毎日たくさんの命が失われているなんて、それが我が身我が家族に降り掛かれば尚更許したくもないでしょう。

でも、現実はそのような『失敗』にあふれているんです。

昔、ボクが大病院の病棟に張り付いていた頃、若い裁判官が何人も見学に訪れました。ボクについて回る彼らが一生懸命医療について学ぼうとしていたのは印象的でした。医療を裁くというのは本当に大変なことなんだと、若いボクも何となく感じた次第です。

あの裁判官たち、元気かなあ。

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父ちゃん的メモ トラックバック(-) | コメント(2) | [EDIT]
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コメント
いつも興味深く拝見しています。
育児ブログの中でも異色で面白いです。
でも、自殺は必ず病気が原因でしょうか?
そのあたりがよく分かりません。
【2018/09/19 17:17】 | #ax4px7aw | [edit]
コメントありがとうございます!

自殺は個人の心情や時代背景、文化など、軽々しく扱えないほど難しいテーマだとは存じますが、こと医療現場におきましては、全ての自殺および自殺未遂は医療的保護の対象として取り扱います。従って、どんなに本人の固い意志、美学で決行された自殺未遂で瀕死の重傷となっていても、それを「助ける」のが医師の義務です。安楽死などの問題が絡むともっと難しくなりますけど…。

短いですがボクの考えを書きました。また遊びに来て下さい!
【2018/09/20 18:19】 | ぽん父 #p6CkwyQg | [edit]
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