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■クスリのリスク

2018.10.09(12:28) 442

病院にいると、ほんと皆さん薬が好きですねえと感心します。

特に高齢者。「こんなに貰ってるの、ウフ」って嬉しそうに見せてくれます。「大変なのよお、薬だけでお腹いっぱいになっちゃうの、ウフ」って。



日本には医薬品は二種類あります。保険がきくものときかないものと。保険がきかないものは基本的に自費です。そして医者は普通、保険のきく薬しか処方しません。

ところが、フランスでは保険の負担割合が「薬の効果によって」変化するという、大変興味深い制度があります。効果が高いと認められる薬剤ほど自己負担が少ないのです。

例えば認知症のクスリ。日本じゃ皆さん大喜びで群がってますね。どの町医者も「最近物忘れが気になる」なんてこぼす高齢者に闇雲にその手の薬を処方したがる。或いは家族が希望する。

でもこれ、フランスじゃ全額自己負担なんです。何故なら『効かないから』。

ま、いいですよ、別に気休めでもいいから飲ませて下さいよ、なんて言う人もいるでしょう。でも、高齢者の自己負担分は概ね1割。残りの9割は公金から支払われているんです。見ず知らずの人の気休めのためにそんな大金払えますかっての。いや、払ってるんですよ皆さん。(涙)



例え効果があるにしても、基本的にあらゆる医薬品は『毒物』と考えるべきです。医者はその毒物のリスクとベネフィットを天秤にかけて処方します。

従って、効果はイマイチだけど飲むと安心するから…みたいな服用は全て愚かしいことです。

さらには、効果は確かにあるんだけど、それって本当に必要なの?医学的に正しいの?という使われ方もあります。



例えば解熱剤。

真夜中の救急外来に「急に熱が出た」とか「子どもが熱を出した」とかと言って飛び込んでくる方は非常に多いです。

まるで熱が出たら解熱剤(と、中には抗生物質)を飲ませなきゃならないと信じこんでいるかのように。いや、信じてるんです。

「次の方、どうされましたー?」
「急に熱が出まして」
「ほうほう、それで?」
「え?…いえ、それだけですが」
「(心の声)…家でゆっくり休んでいればいいのに…」

熱は下げなきゃいけないものではありません。そりゃあ、40℃にもなればさすがに熱そのもので辛くて仕方ないですから、「辛そうだったら飲ませて下さい」なんて言って解熱剤を処方することはありますけど、38.5℃でもケロッとしている人にアセトアミノフェンを飲ませるなんてこと、ボクはしません。

安全性が高いとされるアセトアミノフェン、つまりカロナールですが、ボクは今までに2回、アセトアミノフェンによる薬剤性肝炎で亡くなった患者さんを診ました。非常にレアなケースではありますが。



クスリは正しく服用しましょうね。

逆に、我が家に常備してある愛用薬についても今度ご紹介いたします。
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