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■インフルエンザのTips(1)

2018.11.20(16:42) 540

一般の方々に知っておいて頂きたいインフルエンザにまつわるTipsを書いておきたいと思います。

まず大前提として『インフルエンザは死にうる病気』です。もちろん健康な若者が死ぬことは滅多にありません。しかし高齢者や乳幼児、そして腎不全や癌患者などいわゆる『基礎疾患を有する患者』はあっけなく重症化して亡くなることがあります。それはもう本当にあっけなく。「インフルエンザなんてただの風邪なんだから、寝てればいいんだよ」という人も(医者も)いますが、それは健康な人にとってという重要な限定条件があります。

このブログを読んで下さる方の大半は『健康な若者』でしょうから、皆さんにまずお願いしたいのは『感染を広げない配慮』です。日頃から健康に留意して、もちろんワクチンによる予防。そして罹患してしまったら人混みに行かない、無理をしない、解熱してもすぐにはマスクなしで出歩かない。

■インフルエンザ検査について
今回は検査について。鼻に綿棒を突っ込むやつです。イヤですねーアレ。

「上司が受けろと言ったので」とか「学校の先生が受けてきてと言ったので」とか、自分でも『これはインフルエンザじゃないだろう』と思っているのに検査を希望される方。あるいは「急に高熱が出たのでインフルエンザだと思って駆けつけました!」と、真夜中や未明の寒さをおしていらっしゃる方。皆さんこの検査が大好きです。

ところで、医師が「あなたはインフルエンザじゃないよ」と言ったのに、検査結果は『インフルエンザ陽性』。

あるいは医師がインフルエンザと診断したのに検査結果は『陰性』。

医師と検査結果と、どちらを信用します?

実は、この検査は(他の全ての検査と同様に)絶対に正しいとは限りません。本当はインフルエンザじゃないのにインフルエンザと判定される『偽陽性』という厄介な現象があります。同様に、本当はインフルエンザなのに『陰性』という嘘の結果(『偽陰性』)が出ることもあります。

比較的偽陰性の少ない検査なんですけど、発症から間もない頃は結構多い。しんどい思いをしてせっかく救急外来を受診したのに「お熱が出てからまた時間が経っていないのね、じゃあまた明日出直してきてね、あしからず」なんて言われて凹んだ記憶のある方もおられるでしょう。

ボクだったらそういう発症から間もないときは診察だけして(検査をせず)、こりゃインフルエンザだなと判断した場合は迷わず抗インフルエンザ薬を処方します。それが最もリーズナブルだと思いませんか?

ところが、世の中には医師の診断よりも検査結果を信仰する人々がいます。ボクが「あなたはインフルエンザだ、検査なんて無駄ですよ」と言っているのに「いーや、検査をしてくれ」と主張し、その結果『陰性』だったらどうするのです?「わたしゃ検査を信用しますからタミフルは結構です」と言って帰るのですか?また明日来ますって?そんなわけないですよね。なのに皆さん検査にこだわる。まるで検査が義務であるかのよう。

厄介なのは職場や学校がこの検査結果を要求する場合です。どんなに理屈を訴えても「とにかく検査して下さい」の一点張り。検査で陰性だったら出社させるんですか?解熱したらすぐに登校させるんですか?医者がインフルエンザだと診断すればそれで十分ではありませんか?

もう一つ厄介なのは、医師の中にもこの検査結果を信奉する人がいるということです。同居の家族が既にインフルエンザA型と診断されているのに、当人の検査結果が陰性だったら抗インフルエンザ薬を出さないという医師がいるんです。びっくりですよ。思考停止以外の何者でもない。

…医療現場からの言い訳も書かせて頂くと、忙しすぎるんです。これから春先までの間、内科外来と救急外来は発熱患者であふれかえります。ある程度機械的に捌かないと回らないんです。

なので、病院によっては「発熱から12時間ないし24時間経たないと検査しません」と一律ルールを設けていたり、患者の希望があれば問診もそこそこに(診察もせずに)インフルエンザ検査を行ってベルトコンベア式に捌いていく、なんて方法をとらざるを得ない病院もあるんです。それに、インフルエンザの検査は保険上、原則1回しか認められていないという問題もあります。

とにかく辛く嫌な検査です。賢く利用しましょう。

続きます。
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