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■ インフルエンザのTips(3)

2018.11.24(16:35) 550

タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザ。

一般の方が耳にする抗インフルエンザ薬はこの4つですね。実際には他にも2種類の薬がありまして、医師は合計6種類の抗インフルエンザ薬を使い分けています(実はもう1剤特殊なものがありますが、ボクは使用経験がありません)。

タミフル:経口薬。朝晩2回、5日間。
リレンザ:吸入薬。朝晩2回、5日間。
イナビル:吸入薬。1回で終了。
ゾフルーザ:経口薬。1回で終了。

このうちゾフルーザは国産の新薬で、本格的な流行期の臨床応用は今冬が初めて。非常に注目されます。

よく訊かれるのが従来からあるタミフル、リレンザ、イナビルの使い分け。以下、古典的3剤を中心に。

(1)原則、効果に大きな差はない
実はいずれも作用機序は同じです。大事なのは残念ながら『劇的な効果はない』という事実です。効果に否定的な見解・報告もあり、多くの医師が納得するコンセンサスはせいぜい健康な若者においては『発症48時間以内に使用した場合に限り、解熱までの時間を1日弱短縮する』程度。発症から48時間以降でタミフルやリレンザを使用しても有効性はゼロかも知れず、かつ副作用だけが残りうるということです。さらに言えば、日本ではイナビルはタミフルに劣らないとされますが、欧米ではイナビルに有効性はないとされています。従ってボクはイナビルを処方したことがありません。なお、ゾフルーザは全く違う原理でインフルエンザを退治します。

(2)耐性
タミフルは耐性ウイルスが出現しやすいとされ、いわゆるタミフルの効かないインフルエンザの存在が多く報道されたこともあり、「古い薬」というイメージがついた感もありますが、耐性ウイルスが大流行した例はなく、今でも第一線で使える薬です(歴史的にはリレンザの方が古い薬です)。また、タミフルの乱用がタミフル耐性ウイルスを増やすという証拠は不十分です。

(3)用法を守れるか
タミフルとリレンザは5日間、朝晩使わないといけません。これが意外と守れない患者さんが多い。その点一回の使用だけで終わるイナビルは楽チンです。しかし、吸入の下手な人はせっかくのイナビルを無駄にしかねないので、子どもや高齢者には処方したくありません。そこで同じく1回だけの使用で完結する内服薬のゾフルーザに期待が集まります。

(4)異常行動はぬれぎぬ
「十代の若者にタミフルを処方するな」と指導されたのも今は昔。「いやいや、リレンザも怪しいぞ」とされたのも昔の話。タミフルを飲んで窓から飛び降りるなどの報道が相次ぎましたが、結局タミフルが原因なのではなく、インフルエンザそのものが若者の異常行動を惹起していたと考えられます。とはいえ、タミフルなど抗インフルエンザ薬に精神的な副作用がないわけではありません。いずれにせよ青少年が罹患した場合は「熱にうなされて何をするか分からんぞ」というノリで目を離さないことです。

(5)牛乳アレルギー
リレンザやイナビルは乳糖アレルギーを惹き起こしうるというのは(医師の間でも)案外知られていません。アレルギーをもつお子さんの保護者は押さえておきたいポイントです。

(6)予防投与が可能
これら3剤はいずれも予防目的に使用することが出来ます。これについてはギロンがあるのでページを改めて記します。

(7)副作用
どんな薬にも副作用があります。実臨床でボクが体験したタミフルの副作用は下痢やじんましんですが、眠気や興奮など精神的な副作用もあるようです。タミフルに比べてリレンザは(体内に取り込む量がうんと少ないので)副作用も少な目ですが、ないわけではありません。イナビルやゾフルーザは1回の使用で有効ということは、タミフル1錠よりも長く体内に残るということでもあり、副作用への対処としては不利になります。

(8)現場の医師の本音
上述のように発症から2日以上経った患者が受診した場合、本来なら抗インフルエンザ薬を処方するのはルール違反です。

しかし現場は本当に忙しく、患者ひとりひとりに十分な問診や診察に時間を取りにくいため、病院によっては看護師が機械的に検査し、結果を医師に報告し、医師も半ば機械的に処方箋を発行するなんていう酷いところも珍しくありません。

そして、例えば発症から3日経過した患者にタミフルを処方して医師が処罰されることはありません。非常に健康でごく軽症のインフルエンザにタミフルを処方しても怒られません。

でも、「あなたは発症から3日なのでタミフルもリレンザも無効ですから処方しません」と、まだ辛さのピークにある患者が這うようにして受診したのに、正論をぶちかます医師側には多大な労力が必要であるとともに高い確率で患者の気分を害し、クレームや良からぬ口コミの原因にもなりかねません。従って、多くの医師は無効と思っていても処方しているのが現実ではないでしょうか。

そして処方したタミフルやリレンザのせいで副作用が出現しても、それは医師のせいではなく薬のせいなのです。医師は「大変だったね、もう二度と同じ薬は飲まないようにね」と言っておしまいです。

タミフルやリレンザ、そして新薬のゾフルーザを希望する場合、患者さんに覚えておいて欲しいことは、

『インフルエンザ検査は発症から半日経たないと施行してくれない病院が多い』

『抗インフルエンザ薬は発症から48時間以内に使わないと無駄もしくは有害』

この二点を意識して上手に医療機関を利用して下さい、ということです。

続きます。

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