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■献血しま専科

2020.01.16(00:16) 815

血液製剤は全て善意の献血から作られます。輸血用の赤血球製剤が一番イメージされやすいでしょうが、その種類と用途は非常に多岐にわたり、単に「出血多量のときに使うアレでしょ?」と言えるものではありません。

世間には色々な風説があり、「日赤はタダで手に入れた血液を独占し、法外な値段で売り捌いて暴利を貪っている」という表現で真剣に語る人も珍しくありません。「だから自分は献血しないのだ」と。何をもって暴利と判断するのかはボクには分かりませんが、コストの低さを言うのであれば、どんな医薬品もそんなものと聞いたことはあります。ま、人の善意をお金に変えている団体という一面的事実をもって嫌悪感を抱いているのでしょうが。

しかし、日赤の血液製剤の価値はそんな単純な物差しだけで評価出来るようなものではないこともまた知って頂きたいものです。どれだけの人命がこの製剤で救われていることか。そしてその恩恵を受けるのは明日のあなたかも知れません。

そういうボクは高校生の頃から頻回に献血しています。それはもう膨大な量の生き血を提供し続け、今後自分が交通事故で重体に陥っても数十回分は間に合うんじゃないかという(笑)。でも、ボクが今までに使用してきた量にはまだ足りないかな。

医療現場で血液製剤を使うときも、常に自分と同じ善意で提供しているであろう『仲間』に感謝しています。本当にありがとうございます。

そういえば先日、救急病院で夜勤中に大量吐血で意識不明、自発呼吸が今にも止まりそうな若い男性が搬送されてきました。人工呼吸などで全身管理を図りつつ、内視鏡で止血するのですが(こんな重症患者でもたった一人で対応せざるを得ない病院が東京近郊にもあるのです)、そんな文字通りの修羅場で患者の母親(通報者)が突然「どうか輸血しないで」と申し入れてきました。それはつまり宗教上の理由からなのですが、患者の吐いた血を浴びつつ「さあ何がなんでも助けるぞ!」とアドレナリン全開で活動していた現場は一気に冷や水を浴びせられたようなものでした。

問い詰めたボクに、患者自身は現在信徒ではないことを母が告白したため方向性を見失わずに済みましたが、危うく一人の若者の命を失うところでした。そして、ボクも信仰による殺人に加担してしまうところでした。



娘にも、16歳になったら定期的に献血して欲しいとお願いしています。いずれは弟妹にも働きかけていきます。もちろん最終的な判断は子ども自身が決めることですが、特殊な血液型の保有者として、彼らも既に互助会の一員のようなものなのです。ワクチン注射も大嫌いな長女ですが、献血についてはある種の決意をもって受け止めてくれています。

この世は全て、助け合いです。
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コメント
暴利とか真剣に言う人に出会うと、悲しくなりますね。
血液自体がタダでも採取器具代、採取のための人件費、血液に対する検査費用、24時間血液を届けられる体制のための人件費などを含め、安全な(完全に安全とは言い切れませんが)恒常的に行うための金額設定ではないかなと思います。
ともあれ、命をつなぐバトンをつないでくれる献血者さんには感謝です
【2020/01/16 13:52】 | テケテケ #- | [edit]
テケテケさん、コメントありがとうございます。

仰るとおりです。あれだけの品質で全国津々浦々に24時間供給するシステムこそ最もコストのかかる部分だと思います。頭が下がります。
ボクに出来るのは、献血の継続と血液製剤を無駄に使わないこと(大事!)ですね。

ではでは、今後ともよろしくお願いいたします。
【2020/01/16 15:04】 | なでしこパパ #ax4px7aw | [edit]
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