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■青葉繁れる

2020.01.22(20:03) 820

水木しげる御大で育ったと自認するボクは、滑稽で哀れな怪異の存在が妙に愛しいんですよ。

家鳴りの響く丑三つ時の病院で、一人で好きなだけほんのり怖い映画を楽しめるなんて、その手の好事家にはたまらないシチュエーションではないでしょうか。

あ、単に怖いのが好きなんじゃないですよ。ペーソス。そう、哀愁に満ちた恐怖がいいのです。スプラッタ系は全く観ません。リアリティを感じないので。

水木しげるの『河童の三平』に始まり井上ひさしの『新釈遠野物語』に至るまでと懇ろに寄り添い、家の周りは林や川や田んぼばかりの田舎で過ごしたボクの少年期は、いつも怪異と隣り合わせでした。

夜中の鶏って寝言を言うんですよ。ボソボソと、まるで人語のように。朝起きたら見たことのない獣が車にはねられていたり、掘っ建て小屋に仙人のような爺さんが住み着いていたり。野犬も多かった。どこの誰かも分からない子どもと遊ぶのも日常。

それに引き換え、娘の世界ときたらどうでしょうか。

幽霊や妖怪はとうに絶滅し(え、妖怪ウォッチ?何ですかそれは)、人面犬も口裂け女も既になく、街は煌々と眠らず、空を飛ぶのはカラスとスズメだけ、都市伝説の類いは人の世の負の側面ばかり。

いつか遠野に行きたいと願って来ましたが、今の娘を連れて行ってもいまいちピンとこないでしょう。

まさに、サンタクロースの存在は現代の奇跡、生きた化石と言って過言ではない。昭和は遠くなりにけり、です。

娘にこの世界観を伝達するにはどうしたらいいんでしょうね。

あ、そうそう。井上ひさしといえば『青葉繁れる』。これは定期的に読み返したくなりますね。中高生はもちろん中高生をもつお母様方には是非ともオススメしたい。…いや、やめておいた方がいいかな。青春小説の名作(迷作)です。

小学生にはとても見せられた代物ではありませんけどね。(笑)
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