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■コロナメモ:花を買って帰る

2020.05.12(21:13) 978

今後の展望については、これはもう不確定要素が多過ぎてとても知った風なことを書くことは出来ません。医療の現場を知らない人はとかく色々なことをおっしゃいますが。

それでも、この二ヶ月ほどでだいぶ状況が変わりました。というよりも、敵が見えてきました。

一臨床医として国の政策に思うところは多々ありますし、その評価と反省は徹底的になされるべきですが、まず結果的に時間を頂けた、これは大きかったですね。

ボクが多少なりとも関わった患者は20名足らずですが、エクモ(人工肺)を回した最重症例もいます。ああ、この患者は十中八九助からないだろうなという死の淵から生還した人が複数います。

その率直な感想として、『適切な危機と管理があれば、恐れるばかりの病気じゃないぞ』と。『あれ、結構戦えるんだな』と。

しかし、重症患者を助けるには優れた医療(知識と技術と潤沢な物資)が必要であることも間違いありません。

もっと早い段階で万が一患者が急増し、医療従事者にも蔓延していたら。死亡率はこんなものではなかったでしょう。

初めは戸惑い疲弊した『院内感染防止のための防御策』も、今では日常になりつつあります。どうすれば感染を防げるのか、どうすれば他の患者の治療を継続・両立させられるのか。

現場の医師や看護師らスタッフにその知識と経験と覚悟を与えてくれた二ヶ月だったと個人的には考えています。

決して楽観的でも悲観的でもない自分ですが、医療現場の戦いは、これはもう長く続くに違いありません。例え社会活動が徐々に戻っても、医療は気を抜けません。今後もう一波、二波がきて、今までとは比較にならないオーバーシュートが起こるかも知れません。

が、幸いにもボク達には時間が与えられた。患者サイドである国民も様々な知識を得ることが出来た。ニューヨークや欧州のような大規模な医療崩壊を防ぐための手立てを考える時間を得たのです。

日本の医療は根本的に様々な問題を内包していましたが、そのほとんど全てについて、今回のコロナ禍を契機に見直すチャンスを与えられたとも思います。(これは長くなるのでまた今度)

政策の結果、或いは市民の自粛の結果、血をみるほど辛い思いをしている方々も多いでしょう。生活に困っている方もいるはずです。

ボクの弟は、花屋さん兼フラワーコーディネーターという、ちょっとボクとは違うジャンルで頑張っていましたが、(果たして家賃分だけでも稼げているのだろうか)と心配になるほど売上が落ちているそうです。

そういう方々のお陰で今現在の医療が成り立っていると思っています。感染拡大を防ぐために配慮して下さった皆さんのお陰です。

皆さん、お仕事の帰り、街の花屋さんが目についたらお花を買って下さい。音楽を聴きましょう。綺麗な洋服やアクセサリーやお化粧品を買いましょう。

騒ぎが収まったらパーッと飲んで、映画館や博物館に行って、レストランで食べて、コンサートやライブハウスに行きましょう。もうちょっとの辛抱だと信じて頑張りましょう。
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